つらい膝の痛みとしびれ…その原因と改善策をタイプ別に紹介

突然の膝の痛みとしびれ、不安になりますよね。もしかしたら、深刻な病気のサインかもしれません。このページでは、膝の痛みとしびれの原因を、変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、梨状筋症候群、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症など、様々なタイプ別に詳しく解説します。それぞれの症状の特徴や、適切な対処法、予防策を知ることで、不安を解消し、適切なケアに繋げることができます。痛みやしびれを放置すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、将来的な歩行困難にも繋がりかねません。早期発見、早期対処が大切です。この記事を読み、ご自身の症状に合った情報を見つけ、健康な毎日への一歩を踏み出しましょう。

1. 膝の痛みとしびれの原因を特定!放っておくとどうなる?

膝の痛みとしびれは、日常生活に大きな支障をきたす症状です。その原因は実に様々で、放置すると症状が悪化したり、日常生活に大きな制限がかかる場合もあります。早期に原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。

1.1 膝の痛みとしびれの主な原因

膝の痛みとしびれを引き起こす原因には、以下のようなものがあります。

原因痛みの特徴しびれの範囲
変形性膝関節症徐々に強くなる痛み、動作時の痛み、朝のこわばり膝周辺
半月板損傷鋭い痛み、膝の引っかかり感、クリック音損傷部位周辺
靭帯損傷受傷時の激痛、不安定感、腫れ損傷部位周辺
梨状筋症候群お尻の痛み、太ももの裏側への放散痛お尻、太もも裏、足先
腰椎椎間板ヘルニア腰の痛み、下肢への放散痛ヘルニアによる神経圧迫部位により異なる
脊柱管狭窄症間欠性跛行(歩行時の痛みやしびれ)、安静時の軽減下肢全体
閉塞性動脈硬化症運動時の痛み、冷感、皮膚の蒼白下肢全体

1.2 放置するとどうなる?

膝の痛みとしびれを放置すると、症状の悪化につながる可能性があります。例えば、変形性膝関節症の場合、軟骨のすり減りが進行し、最終的には歩行困難になることもあります。また、神経が圧迫されている場合は、しびれが慢性化したり、筋力低下を起こす可能性もあります。さらに、閉塞性動脈硬化症のような血管の病気が原因の場合は、放置することで重篤な合併症を引き起こすリスクも高まります。

1.3 早期診断の重要性

膝の痛みとしびれを感じたら、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。適切な検査と診断を受けることで、原因に応じた治療を受けることができます。早期に治療を開始することで、症状の進行を抑制し、日常生活への影響を最小限に抑えることができるでしょう。

2. 変形性膝関節症による膝の痛みとしびれ

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで痛みやしびれが生じる病気です。加齢とともに発症しやすいため、中高年の方に多くみられます。初期は立ち上がりや歩き始めなどに痛みを感じることが多いですが、進行すると安静時にも痛みが続くようになり、日常生活に支障をきたすこともあります。

2.1 初期症状と進行について

初期症状としては、立ち上がり時や歩き始め、階段の昇降時などに膝に痛みを感じることが挙げられます。また、正座やしゃがみ込みがつらくなる、膝に水が溜まる、膝を曲げ伸ばしする際にゴリゴリとした音が鳴るといった症状が現れることもあります。進行すると、安静時にも痛みやしびれを感じるようになり、膝の変形が目立つようになります。最終的には、常に痛みが続くようになり、歩行が困難になる場合もあります。

段階症状
初期立ち上がり時や歩き始めの痛み、階段の昇降時の痛み、正座やしゃがみ込みが困難
中期安静時の痛み、膝の腫れ、水が溜まる、膝の変形
末期常に痛みがある、歩行困難

2.2 原因とメカニズム

変形性膝関節症の主な原因は加齢による軟骨の老化です。軟骨はクッションの役割を果たしていますが、加齢とともに弾力性や水分が失われ、すり減りやすくなります。肥満や遺伝、激しいスポーツ、O脚、X脚なども発症リスクを高める要因となります。また、骨折や靭帯損傷などの外傷が原因で発症する場合もあります。軟骨がすり減ると、骨同士が直接ぶつかり合うようになり、炎症や痛みを生じます。さらに、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成されることで、神経が圧迫され、しびれが生じることもあります。

2.3 改善策と予防法

変形性膝関節症の改善策としては、痛みを和らげるための薬物療法やヒアルロン酸注射、リハビリテーションなどがあります。また、大腿四頭筋の強化やストレッチなどの運動療法も有効です。日常生活では、体重管理や膝への負担を軽減するための装具の使用、杖の使用なども有効です。予防法としては、適度な運動、バランスの良い食事、適切な体重管理などが重要です。特に、ウォーキングや水中ウォーキングなどの膝への負担が少ない運動がおすすめです。また、正座やあぐらを長時間避ける冷えに注意することも大切です。

3. 半月板損傷による膝の痛みとしびれ

半月板は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にあるC型の軟骨で、膝関節のクッションの役割を果たし、衝撃を吸収したり、関節の動きを滑らかにしたりしています。この半月板が損傷すると、膝の痛みやしびれなどの症状が現れます。

3.1 スポーツによる損傷

スポーツ中の急激な方向転換やストップ、ジャンプの着地など、膝に大きな負担がかかる動作によって半月板が損傷することがあります。コンタクトスポーツやラケットスポーツなどで多く見られます。

特に多いのが、膝を曲げた状態で捻る動作です。例えば、サッカーやバスケットボールで、ボールを蹴ろうとしたり、ドリブルをしたりする際に、急に方向転換すると、半月板に大きな力が加わり、損傷するリスクが高まります。また、柔道やスキーなどでも、転倒や衝突によって半月板を損傷することがあります。

3.2 加齢による損傷

加齢とともに半月板の組織は弾力を失い、もろくなっていくため、軽微な外力でも損傷しやすくなります。日常生活での動作や、ちょっとした段差につまずいただけで損傷することもあります。高齢者の半月板損傷は、変形性膝関節症を合併している場合も多く見られます。

3.3 症状と治療法

半月板損傷の主な症状は、膝の痛み、腫れ、引っかかり感、クリック音、そして場合によってはしびれです。損傷の程度や部位によって症状は様々です。軽度の損傷であれば、安静や痛み止め、湿布などの保存療法で改善する場合もありますが、損傷が大きい場合や、保存療法で改善しない場合は、手術が必要となることもあります。

症状説明
痛み損傷の程度によって異なりますが、鋭い痛みや鈍い痛みなど様々な痛みがあります。特に、階段の上り下りや正座など、膝を深く曲げる動作で痛みが強くなる傾向があります。
腫れ損傷後、数時間から数日かけて膝が腫れてくることがあります。炎症が強い場合は、熱感や赤みを伴うこともあります。
引っかかり感・クリック音膝を動かした際に、関節内で何かが引っかかるような感覚や、クリック音がすることがあります。これは、損傷した半月板が関節の動きを妨げているために起こります。
しびれ半月板損傷自体がしびれの直接的な原因となることは少ないですが、損傷に伴う炎症や腫れによって周囲の神経が圧迫され、しびれが生じることがあります。また、半月板損傷と同時に他の疾患(例えば、神経の損傷など)を合併している場合にもしびれが現れることがあります。
ロッキング膝が一定の角度で動かなくなり、伸びなくなったり、曲がったままの状態になったりすることをロッキングといいます。半月板が大きく断裂し、関節内に挟まった場合に起こりやすい症状です。

治療法としては、まず保存療法が試みられます。安静、アイシング、圧迫、挙上などのRICE処置や、消炎鎮痛剤の内服、ヒアルロン酸注射などが行われます。また、リハビリテーションによって膝関節周囲の筋力強化や関節可動域の改善を図ることも重要です。保存療法で効果が見られない場合や、半月板が大きく断裂している場合は、関節鏡手術によって損傷した半月板を修復または切除することがあります。

4. 靭帯損傷による膝の痛みとしびれ

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿)の3つの骨で構成され、これらの骨をつなぎとめ、関節を安定させる役割を担っているのが靭帯です。靭帯は、強い線維性の組織でできており、膝の動きを制御し、過度な動きを防いでいます。激しいスポーツや転倒などによって、この靭帯が損傷すると、痛みやしびれが生じることがあります。

4.1 前十字靭帯損傷

前十字靭帯は大腿骨と脛骨をつなぎ、脛骨が前にずれるのを防ぐ役割をしています。スポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地時などに損傷しやすく、損傷時には「ブチッ」という音や、膝が抜けるような感覚を覚えることがあります。また、膝の腫れや痛み、歩行困難などの症状が現れます。

4.2 内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯は大腿骨と脛骨の内側をつなぎ、膝が外側に反るのを防ぐ役割をしています。接触プレーが多いスポーツなどで、膝の外側から強い力が加わった際に損傷しやすく、膝の内側の痛みや腫れ、不安定感などの症状が現れます。

4.3 症状と治療法

靭帯主な症状治療法
前十字靭帯損傷時の音や膝が抜ける感覚 膝の腫れや痛み 歩行困難 膝の不安定感保存療法(装具療法、リハビリテーション) 手術療法(靭帯再建術)
内側側副靭帯膝の内側の痛み 腫れ 不安定感保存療法(固定、リハビリテーション) 手術療法(靭帯縫合術、再建術)

靭帯損傷の治療は、損傷の程度や症状、患者さんの年齢や活動レベルなどを考慮して決定されます。軽度の損傷の場合は、保存療法で経過観察を行うことが多いですが、重度の損傷や不安定感が強い場合は、手術が必要となることもあります。早期に適切な治療を開始することが重要です。

5. 梨状筋症候群による膝の痛みとしびれ

梨状筋症候群は、お尻の深部にある梨状筋が坐骨神経を圧迫することで、痛みやしびれを引き起こす症状です。多くの場合、膝の裏から足にかけて痛みやしびれが生じ、まるで坐骨神経痛のような症状を呈するため、腰椎椎間板ヘルニアなどと間違われることもあります。

5.1 原因と症状

梨状筋症候群の主な原因は、梨状筋の過緊張や炎症です。激しい運動や長時間のデスクワーク、足を組む癖などが梨状筋に負担をかけ、症状を引き起こすことがあります。また、転倒などによる外傷が原因となる場合もあります。

主な症状としては、以下のようなものがあります。

症状詳細
お尻の痛み梨状筋があるお尻の奥に痛みを感じます。
膝裏から足にかけての痛みやしびれ坐骨神経が圧迫されることで、膝の裏から足にかけて痛みやしびれが生じます。時に、足先まで症状が及ぶこともあります。
痛みが増悪する動作長時間座っている、階段の上り下り、中腰の姿勢などで痛みが強くなることがあります。

5.2 治療法とストレッチ

梨状筋症候群の治療法は、保存療法が中心となります。痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤の服用や湿布の使用、物理療法(温熱療法、電気療法など)が行われます。また、梨状筋の緊張を和らげるためのストレッチやマッサージも有効です。

以下に、梨状筋のストレッチ方法をいくつかご紹介します。

ストレッチ方法
梨状筋ストレッチ(仰向け)仰向けに寝て、片方の膝を曲げ、反対側の足首をその膝の上に乗せます。曲げた膝を手で抱え込み、胸の方へゆっくりと引き寄せます。お尻の奥にストレッチ感を感じるところで30秒ほど保持します。
梨状筋ストレッチ(座り)椅子に座り、片方の足を反対側の太ももの上に重ねます。上になっている足の膝を手で押さえ、上体をゆっくりと前傾させます。お尻の奥にストレッチ感を感じるところで30秒ほど保持します。
梨状筋ストレッチ(うつ伏せ)うつ伏せに寝て、両膝を90度に曲げます。片方の足を反対側の足の上に重ねます。重ねた側の膝を床に近づけるようにゆっくりと倒します。お尻の奥にストレッチ感を感じるところで30秒ほど保持します。

これらのストレッチは、痛みを感じない範囲で行ってください。症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関への受診をおすすめします。

6. 腰椎椎間板ヘルニアによる膝の痛みとしびれ

腰椎椎間板ヘルニアが原因で膝の痛みやしびれが生じるケースがあります。腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の腰の部分にある椎間板というクッションの役割を果たす組織が、何らかの原因で飛び出してしまい、周囲の神経を圧迫することで様々な症状を引き起こす疾患です。この飛び出した椎間板が、坐骨神経を圧迫することで、膝の痛みやしびれなどの症状が現れることがあります。

6.1 ヘルニアによる神経圧迫

腰椎椎間板ヘルニアは、主に加齢や姿勢の悪さ、重いものを持ち上げるなどの動作によって引き起こされます。椎間板の中にある髄核というゼリー状の物質が、外側の線維輪という組織を突き破って飛び出すことで、神経を圧迫します。坐骨神経は腰から足にかけて伸びている人体で最も太い神経であり、この神経が圧迫されると、腰だけでなく、お尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれ、感覚異常などが現れることがあります。腰椎椎間板ヘルニアによる膝の痛みやしびれは、この坐骨神経の圧迫が原因で起こることが多いです。

6.2 症状と診断

腰椎椎間板ヘルニアによる膝の痛みやしびれは、片側の膝に出ることが多く、痛みやしびれの程度は軽度から重度まで様々です。また、咳やくしゃみをした時、前かがみになった時などに痛みが強くなる傾向があります。その他、腰痛、臀部の痛み、太ももの裏側やふくらはぎの痛みやしびれなども併発することがあります。診断は、問診、神経学的検査、画像検査(レントゲン、MRI、CTなど)によって行われます。MRI検査は、椎間板の状態を詳細に確認できるため、ヘルニアの診断に非常に有効です。

6.3 保存療法と手術療法

治療法内容
保存療法痛み止めや炎症を抑える薬物療法、神経の働きを改善する薬物療法、コルセットの着用、安静、理学療法(ストレッチ、運動療法など)などがあります。多くの場合、これらの保存療法で症状が改善されます。
手術療法保存療法で効果がない場合や、排尿・排便障害などの重篤な症状がある場合は、手術療法が検討されます。手術には、内視鏡を用いた低侵襲な手術や、従来の開腹手術など様々な方法があります。

症状や生活への影響を考慮し、医師と相談しながら適切な治療法を選択することが重要です。

7. 脊柱管狭窄症による膝の痛みとしびれ

脊柱管狭窄症は、加齢に伴う脊柱の変形などが原因で、脊髄神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫され、様々な症状を引き起こす病気です。下肢のしびれや痛み、歩行障害などが代表的な症状ですが、膝の痛みやしびれもその一つとして現れることがあります。

7.1 症状の特徴と原因

脊柱管狭窄症による膝の痛みやしびれは、間欠性跛行と呼ばれる特徴的な症状を伴うことが多いです。間欠性跛行とは、しばらく歩くと足にしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる症状のことです。この症状は、脊柱管が狭窄していることで、歩行時の脊髄への血流が不足するために起こると考えられています。また、前かがみになると症状が軽減するのも特徴です。椅子に座ったり、自転車に乗ったりすると楽になる一方、仰向けに寝ると痛みが増す傾向があります。症状は片足に出ることもあれば、両足に出ることもあります。

脊柱管狭窄症の原因は、主に加齢に伴う脊柱の変形です。具体的には、椎間板の突出や骨棘形成、黄色靭帯の肥厚、椎間関節の変形などが挙げられます。これらの変化によって脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで、膝の痛みやしびれが生じます。

7.2 診断と治療法

脊柱管狭窄症の診断には、問診、神経学的検査、画像検査などが行われます。問診では、症状の特徴や経過などを詳しく聞き取ります。神経学的検査では、筋力や感覚、反射などを確認し、神経の圧迫の程度を評価します。画像検査としては、X線検査、MRI検査、CT検査などが用いられます。X線検査では、脊柱の骨の状態を確認できます。MRI検査では、脊髄や神経の状態を詳細に確認できます。CT検査では、骨の状態をより詳しく確認できます。これらの検査結果を総合的に判断して診断を確定します。

治療法は、症状の程度や患者の状態に合わせて選択されます。保存療法が中心となりますが、症状が重い場合や保存療法で効果がない場合は手術療法が検討されます。

治療法内容
保存療法薬物療法:痛みやしびれを軽減するための鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬などを用います。 理学療法:ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、脊柱の柔軟性を高め、筋力を強化します。 装具療法:コルセットなどを装着して脊柱を安定させ、神経への負担を軽減します。 神経ブロック注射:神経の炎症を抑え、痛みやしびれを軽減します。
手術療法脊柱管拡大術:狭くなった脊柱管を広げ、神経の圧迫を取り除きます。 椎弓切除術:神経を圧迫している骨の一部を切除します。

脊柱管狭窄症は、適切な治療を行えば症状の改善が期待できます。膝の痛みやしびれが気になる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

8. 閉塞性動脈硬化症による膝の痛みとしびれ

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって足の血管が狭窄または閉塞し、血流が悪くなる病気です。進行すると、歩行時の痛みやしびれといった症状が現れ、重症化すると安静時にも痛みが続くようになります。膝の痛みやしびれも、この閉塞性動脈硬化症が原因で起こることがあります。

8.1 症状と危険性

閉塞性動脈硬化症による膝の痛みやしびれは、特に運動時や歩行時に強く現れる傾向があります。初期症状としては、しばらく歩くとふくらはぎや太もも、お尻などに痛みやしびれ、だるさを感じ、休息すると症状が軽快するという特徴があります。これを間欠性跛行といいます。進行すると、安静時にも痛みやしびれを感じるようになり、さらに重症化すると潰瘍や壊疽を引き起こす可能性があります。閉塞性動脈硬化症は、心筋梗塞や脳梗塞といった生命に関わる病気を引き起こす危険性もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。

以下に閉塞性動脈硬化症の症状をまとめました。

症状説明
間欠性跛行一定距離を歩くと脚の痛みやしびれ、だるさが出現し、休息により軽快する。
安静時痛安静時にも脚に痛みやしびれを感じる。
皮膚の色調変化足先が冷たく、蒼白になる。
皮膚の潰瘍・壊疽足先に潰瘍や壊疽が生じる。
脈拍の減弱または消失足の動脈の脈拍が弱くなる、あるいは触れなくなる。

8.2 検査と治療法

閉塞性動脈硬化症の検査には、ABI(足関節上腕血圧比)検査がよく用いられます。これは、腕と足首の血圧を測定し、その比を計算することで血管の狭窄や閉塞の程度を評価する検査です。その他、血管造影検査やMRI検査、CT検査なども行われることがあります。

治療法としては、生活習慣の改善(禁煙、運動療法、食事療法など)がまず重要です。薬物療法としては、血流を改善する薬や抗血小板薬などが用いられます。血管が狭窄または閉塞している場合は、カテーテル治療やバイパス手術などの外科的治療が行われることもあります。

9. その他の原因による膝の痛みとしびれ

変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、梨状筋症候群、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症以外にも、膝の痛みやしびれを引き起こす原因はいくつかあります。ここでは、それらの原因と症状、対処法について解説します。

9.1 鵞足炎

鵞足とは、膝の内側にある縫工筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉が付着する部分のことです。ランニングやジャンプなど、膝を繰り返し曲げ伸ばしする動作によって、この鵞足部に炎症が起こることがあります。これが鵞足炎です。膝の内側に痛みを感じ、特に階段の上り下りや正座で痛みが強くなります。

9.2 オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、成長期の子供に多く見られる疾患です。スポーツなどで膝に負担がかかり続けると、脛骨粗面(膝のお皿の下にある骨の出っ張り)に炎症や痛みを生じます。特にジャンプやダッシュが多いスポーツをしている子供に多く発症します。

9.3 大腿骨外側顆炎(ランナー膝)

ランナー膝は、ランニングなどによって膝の外側に痛みが出る症状です。腸脛靭帯が大腿骨外側顆と擦れ合うことで炎症を起こすことが原因と考えられています。マラソンランナーに多く見られることから、ランナー膝と呼ばれています。

9.4 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)

膝蓋腱炎は、ジャンプ動作の繰り返しなどによって膝蓋腱に炎症が起こる疾患です。バスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作が多いスポーツ選手に多く見られます。膝のお皿の下に痛みを感じ、ジャンプや着地時に痛みが強くなります。

9.5 お皿の軟骨の損傷

転倒や打撲などによって、膝のお皿の裏側にある軟骨が損傷することがあります。損傷の程度によっては、膝の痛みや引っかかり感、腫れなどの症状が現れます。

9.6 感染症

細菌感染などによって膝関節に炎症が起こる場合があります。化膿性関節炎などでは、強い痛みや腫れ、発熱などの症状が現れます。迅速な治療が必要となるため、早急に医療機関を受診することが重要です。

9.7 腫瘍

まれに、膝関節に腫瘍ができることがあります。良性腫瘍と悪性腫瘍があり、症状は腫瘍の種類や大きさによって異なります。膝の痛みや腫れ、しびれなどの症状が現れることがあります。

9.8 神経障害

神経障害の種類症状
大腿神経障害太ももの前面にしびれや痛み、筋力低下などが現れます。
坐骨神経障害お尻から太ももの後ろ側、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが現れます。
腓骨神経障害足首や足の甲のしびれや痛み、足首を上に持ち上げるのが難しくなります。

これらの神経障害は、膝の痛みやしびれの原因となることがあります。神経が圧迫されたり損傷したりすることで、神経の支配領域に様々な症状が現れます。

9.9 痛風

痛風は、血液中の尿酸値が高くなることで、尿酸の結晶が関節に沈着し、炎症を引き起こす疾患です。足の親指の付け根に発症することが多いですが、膝関節に発症することもあります。激しい痛みや腫れ、熱感を伴うのが特徴です。

上記以外にも、様々な原因で膝の痛みやしびれが起こることがあります。症状が長引く場合や、日常生活に支障が出る場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしてください。

10. 医療機関への受診の目安

膝の痛みとしびれは、様々な原因が考えられます。自己判断で放置せず、適切なタイミングで医療機関を受診することが大切です。以下に受診の目安をまとめましたので、ご自身の症状と照らし合わせて参考にしてください。

10.1 日常生活への支障

膝の痛みやしびれによって、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関への受診をおすすめします。

10.1.1 階段の昇降が困難

階段の昇降時に痛みやしびれが強くなり、手すりが必要になったり、昇り降りが困難な場合は、早めに受診しましょう。

10.1.2 歩行困難

痛みやしびれのために歩行が困難な場合、または歩行時に痛みやしびれが増強する場合は、医療機関への受診が必要です。杖や歩行器が必要となる場合も同様です。

10.1.3 正座やしゃがみ込みが困難

正座やしゃがみ込みが困難な場合、日常生活での動作に制限が生じているため、受診を検討しましょう。

10.2 痛みの程度

痛みの程度も受診の目安となります。安静時でも強い痛みがある場合や、特定の動作で激痛が走る場合は、速やかに医療機関を受診してください。

10.2.1 安静時痛

安静にしていても膝に痛みがある場合は、炎症や神経の圧迫などが考えられます。我慢せずに受診しましょう。

10.2.2 夜間痛

夜間、特に就寝時に痛みやしびれが強くなる場合は、重篤な疾患の可能性も考えられます。早めに受診することが重要です。

10.2.3 動作時の激痛

特定の動作で、膝に激痛が走る場合は、靭帯や半月板などの損傷が疑われます。速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けてください。

10.3 しびれの程度と範囲

しびれの程度や範囲も重要な判断材料です。

10.3.1 しびれの範囲の拡大

当初は膝周辺にしびれがあったものの、次第に足先やお尻など、しびれの範囲が広がっている場合は、神経の圧迫などが考えられます。早急に医療機関を受診しましょう。

10.3.2 感覚麻痺

膝や足に感覚麻痺があり、触っても感覚が鈍い、または全く感じない場合は、神経障害の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。

10.4 その他

以下のような症状がある場合も、医療機関への受診をおすすめします。

症状説明
膝の腫れ膝が腫れている場合は、炎症や関節液の貯留などが考えられます。
膝の熱感膝に触れると熱感がある場合は、炎症が起きている可能性が高いです。
膝の変形膝の変形が見られる場合は、変形性膝関節症などが疑われます。
けがの既往過去に膝をけがしたことがある場合、その影響で痛みやしびれが出ている可能性があります。

これらの症状は、必ずしも重篤な疾患を示すものではありませんが、放置すると症状が悪化したり、慢性化する可能性があります。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。

11. まとめ

膝の痛みとしびれは、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷、梨状筋症候群、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症など、さまざまな原因で引き起こされます。それぞれの原因によって症状や進行度合い、適切な治療法が異なります。初期症状では軽い痛みや違和感だけの場合もありますが、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。この記事では代表的な原因とそれぞれの症状、改善策をご紹介しました。自己判断せずに、気になる症状がある場合は医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

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